最古と言い切るのが難しい理由
蜂蜜は糖分が多い一方、そのままでは水分が少なく発酵しにくい食品です。雨水などで薄まると酵母が働きやすくなるため、蜂蜜酒は偶然生まれやすかったと考えられます。
しかし考古学で見つかる蜜蝋や花粉は、蜂蜜を甘味料や容器の封止に使った痕跡かもしれません。発酵を示す成分と同じ容器で確認できて初めて、蜂蜜酒だった可能性が高まります。
賈湖の酒にも蜂蜜が入っていた
中国・河南省の賈湖遺跡では、紀元前7000年頃の土器から米、蜂蜜、果実を合わせた発酵飲料の証拠が見つかっています。純粋な蜂蜜酒ではなく、複数の糖源を使った混成酒です。
この例は、酒を現代の分類だけで分けると古代の実像を見失うことを教えてくれます。手に入る材料を組み合わせ、発酵しやすさと味を整えていたのでしょう。
神話と宴席に残った蜂蜜酒
蜂蜜酒は地中海世界、北欧、東欧、アフリカなどに広く見られます。北欧神話では知恵や詩と結びつき、古代・中世の文献では儀礼や宴席の酒として登場します。
蜂蜜は採取量が限られ、葡萄や穀物より安定した大量生産が難しい材料です。農業と交易が発達すると、日常酒の中心はワインやビールへ移り、蜂蜜酒は特別な場の酒として残りました。
現代のミードは甘いとは限らない
蜂蜜由来の香りがあっても、酵母が糖を十分に使えば辛口になります。果実を加える、香辛料を使う、炭酸を含ませるなど造り方は幅広く、ワインに近いものから軽い発泡酒まであります。
歴史を知って飲むなら、甘さだけでなく蜂蜜の種類、発酵後の残糖、アルコール度数を見ると違いが分かりやすくなります。

