発酵酒が先、蒸留酒は後
歴史の大筋としては、果実や穀物を発酵させる酒が先に広まり、アルコールを濃縮する蒸留酒はかなり後の時代に発展しました。
Alcohol History Guide
ワインが最古なのか、ビールはいつから飲まれているのか、日本酒や蒸留酒はいつ広まったのか。会話で使いやすい酒の歴史と雑学を時系列で整理した教養ページです。
先に見ておきたいこと
Basics
歴史の大筋としては、果実や穀物を発酵させる酒が先に広まり、アルコールを濃縮する蒸留酒はかなり後の時代に発展しました。
混成発酵飲料を含めるのか、葡萄ワインに限るのか、ビール醸造の痕跡まで含めるのかで『最古』の答えは変わります。
祭祀、王権、交易、医療、社交のどれを見ても酒が関わっており、歴史をたどると文明の広がりまで見えてきます。
Origins
結論だけ先に言うと、『ワインが最古』とは言い切りません。酒全般なら中国・賈湖の混成発酵飲料、葡萄ワインならジョージア、ビール醸造痕跡ならラケフェト洞窟が代表候補です。
米、蜂蜜、果実を使った混成発酵飲料の化学的証拠が見つかっていて、『酒全般』の最古級候補としてよく挙がります。
葡萄ワインに限定すると、ジョージアの新石器時代遺跡が最古級の有力候補です。『ワインが最古』という言い方は、あくまで葡萄ワインに限るなら近い表現です。
ナトゥーフ文化の埋葬儀礼に関係する場で、麦類ベースのビール醸造痕跡が見つかっています。少なくとも現在知られるビール醸造の証拠としては非常に古い部類です。
米作と醸造技術が伝わって以後、日本で独自の発展を遂げたのが日本酒です。日本酒造組合中央会によると、日本での米の酒づくりは約2,000年の歴史があると整理されています。
Timeline
約13,000年前
現在のイスラエルにある遺跡で、麦類を発酵させたとみられる痕跡が見つかり、儀礼的な場でのビールづくりが示唆されています。
紀元前7000年ごろ
米、蜂蜜、果実を使った発酵飲料の証拠が報告され、非常に古い酒文化の存在が裏づけられました。
紀元前6000〜5800年ごろ
葡萄ワインに限定するとこの時代のジョージア遺跡が有力で、ワイン史の起点としてしばしば紹介されます。
紀元前4千年紀〜2千年紀
ビールは神々への供物、配給、日常飲料として広まり、のちに『ニンカシ讃歌』のような資料も残されました。
3世紀ごろ
日本酒造組合中央会の整理では、3世紀ごろの中国史書に倭国の酒に関する記述が見られます。
4世紀ごろ
口噛み酒のような古い方法から、麹菌を使う日本酒の系統へ発展していく流れが見えてきます。
古代〜中世
蒸留は発酵よりずっと後に広まり、酒のアルコール度数を高める技術として中国や地中海世界から中世にかけて発展しました。
18世紀ごろ
日本酒造組合中央会によると、江戸時代中期までに現在にかなり近い製法が確立していきます。
By Beverage
覚え方としては、果実や穀物をそのまま発酵させるワイン・ビール・日本酒が先で、そこから蒸留で濃くしたものが蒸留酒です。
葡萄ワインの歴史を語るならジョージアが外せません。保存容器や栽培、供宴文化まで含めて文明史との結びつきが強い酒です。
ビールは農耕社会の産物という印象を持たれがちですが、現時点では農耕以前の儀礼的な醸造痕跡までさかのぼります。
日本酒は蒸留酒ではなく、米を原料にした醸造酒です。宮廷、寺社、都市の酒屋へと生産の担い手が移りながら発展しました。
ウイスキー、ブランデー、焼酎、ウォッカなどの蒸留酒は、発酵酒をさらに濃縮する技術が広がって成立した酒です。
Trivia
蒸留のときに立ちのぼるアルコール蒸気を、昔の人が液体の『本質』や『魂』のように見たことから、蒸留酒が spirits と呼ばれるようになりました。
英語の proof は、かつて酒をしみ込ませた火薬に火がつくかで度数を確かめていた税制の名残です。今の米国では ABV の2倍が proof です。
メソポタミアの『ニンカシ讃歌』は、ビールの女神をたたえる歌でありつつ、古代の醸造手順を伝える資料としてもよく紹介されます。
英語で日本酒を説明するときは rice wine と呼ばれることもありますが、製法としては蒸留ではなく brew、つまり醸造酒です。
Books
会話のネタとして使うなら、まずは「ワインが最古とは言い切れず、定義で答えが変わる」という話から入ると自然です。そこから年表で流れをつかみ、酒種別の違いまで押さえると話を広げやすくなります。
短く話すなら、「酒全般なら賈湖、葡萄ワインならジョージア、ビール醸造ならラケフェト洞窟」と覚えておくと使いやすいです。
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FAQ
葡萄ワインに限ればジョージアの新石器時代遺跡が最古級の有力候補です。ただし、酒全般で見ると中国・賈湖の混成発酵飲料や、ラケフェト洞窟のビール醸造痕跡のほうが古い話になります。
現在の有力な考古学的証拠では、ラケフェト洞窟で約13,000年前の麦類ベースのビール醸造痕跡が報告されています。文明成立後にはメソポタミアで日常的な酒として広く根づきました。
日本酒造組合中央会の整理では、日本での米の酒づくりは約2,000年の歴史があります。3世紀ごろの記録や、4世紀ごろに麹菌が使われ始めたとされる点が大きな目印です。
いいえ、一般には発酵酒のほうが先です。蒸留は発酵した液体からアルコールを濃縮する技術なので、酒史の中では後発のグループとして整理するとわかりやすいです。
『ワインが最古とは言い切れず、定義次第で答えが変わる』という切り出しが外しにくいです。そこから、葡萄ワインはジョージア、ビール醸造はラケフェト洞窟、日本酒は醸造酒であって蒸留酒ではない、という順で広げると話しやすいです。
Sources
中国・賈湖の混成発酵飲料に関する論文
出典を開くジョージアの葡萄ワイン最古級証拠に関する論文
出典を開くラケフェト洞窟のビール醸造痕跡
出典を開くラケフェト洞窟研究の大学発表
出典を開く日本酒の歴史年表と初期記録
出典を開く蒸留酒の歴史の概説
出典を開くspirits の語源
出典を開くproof の語源
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